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| 透明性の向上へ 米紙が異例釈明 メディア信頼回復に倫理厳格化 (記錄時間：2009-12-16) | ||||||||||||||||||||||||
| 米国を代表する日刊紙ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストが、最近、それぞれ紙面に異例の断り書きを掲載した。著名な米元外交官が寄稿した評論が本人の利得につながった恐れのある事例と、外部の記者が取材した内容をニュース記事として掲載した際の金銭面での釈明だった。新聞編集の倫理に神経をとがらせている米メディアの傾向がうかがえる。（ワシントン・嶋田昭浩、写真も） ニューヨーク・タイムズは先月十三日、次のような「編集者の注解」を掲載した。 「他の著者と同様、ガルブレイス氏は記事の内容に関連する金銭的な利害関係を公表しなければならない－との契約を（われわれと）交わしていた。もし、編集者が同氏の投資について知っていれば、公表するよう要求し、さもなくば同氏の評論の掲載を取りやめたであろう」 同紙が問題にしているのは、外交評論家のピーター・ガルブレイス元駐クロアチア米大使。「不確実性の時代」の著者として知られる元ハーバード大教授の経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイス氏の子息だ。今年九月にはアフガニスタン大統領選挙に絡む不正を隠ぺいしたとして国連アフガニスタン支援団のエイダ代表を非難し、同支援団副代表の地位を解任されている。 ■主張の裏に 同紙上などで長年、イラク北部のクルド人の「独立」を支持する論陣を張り、二〇〇五年にイラクの新憲法が起草された当時はクルド自治政府の顧問を務め、クルド側の主張を条文に盛り込むことに一役買ったとされる。 ところが、ノルウェー紙が今年十月、クルド地区で石油の採掘権を獲得したノルウェー企業とガルブレイス氏の関係を報道。ニューヨーク・タイムズ紙も独自に取材を行い、同企業の「政治顧問」として活動し、契約獲得を助けた同氏が一億ドル（約八十九億円）以上の利益を得た可能性を先月十二日、一面トップの記事で報じた。翌日の紙面では、クルド独立の場合に同氏が利得を受ける可能性があったことを「評論の読者に知らせるべきだった」と釈明した。 「彼らは（事前に）より注意深くすべきだったが、（新聞社側の問題点を）認めたのは正しいことだ」と評価するのは米国の職業ジャーナリスト協会倫理委員会のフレッド・ブラウン副委員長。 ■ねつ造契機 ブラウン氏は、〇三年に同紙上でジェーソン・ブレア元記者が記事ねつ造を繰り返していたことが判明、読者の信頼を失墜させた経緯を指摘。「あの一件以来、ニューヨーク・タイムズ紙は特に倫理に神経をとがらせている」と話す。 ミズーリ大のジョージ・ケネディ名誉教授（新聞ジャーナリズム論）も「四半世紀前に比べると、米国のジャーナリズムは透明性の拡大という方向へ前進してきた。大半の編集者が、記事の対象となる人々の思惑について読者に最大限知らせる義務がある、と考えている」と指摘する。 ■交通費のみ 一方、ワシントン・ポスト紙は先月十六日に、十三人が死亡した米陸軍基地銃乱射事件の容疑者が教えを受けていたというイエメンのイスラム教指導者のインタビューを一面に掲載。記事中、実際に取材したのはイエメン人ジャーナリストで、ポスト紙は取材の交通費を負担したものの記者への謝礼は支払っていない、とあえて断り書きを挿入していた。 その理由について、ポスト紙のオンブズマンは「透明性を高めるためではないか」とする。ケネディ教授は「ポスト紙などには、タブロイドの新聞と違ってインタビューにカネを払わないというルールがある。それをはっきりさせたかったのだろう」とみている。 |
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